武士道/コンプライアンスが日本を潰す

久しぶりに書評です。LAからの戻り便で、2冊読了。


 新渡戸稲造(山本博文 訳/解説) ちくま新書861

宗教教育がない日本においてどうやって道徳教育を行うのか?という
ベルギーの法学者からの質問がきっかけで1899年にまとめられた本が本書。
「BUSHIDO The Soul of Japan」としてアメリカで出版され
世界的なベストセラーになり、未だに読み継がれるロングセラー。

1899年と言えば、日清戦争に勝利した数年後。
先進国に名前を連ね始めたあたり。

士農工商がある封建社会にあって、もっとも尊敬される位としての武士。
武士道は成文化されたものではないが、仏教的、儒教的影響から派生しており
徳目としては義・勇・仁・礼・信(誠)・名誉・忠義で構成される。
すべて関連するが、最も根幹となるのは名誉であろう。
名誉と言うと理想的だが、身分を汚さない「恥」の概念の方が強い。
自立的な倫理というよりも世間の目を恐れる他律的なものと考える方が適切だろう。

武士道を桜に例えた冒頭の書き出しが、日本人的には受け入れやすい。
「武士道は、日本の標章である桜の花にまさるとも劣らない、
わが国土に根ざした花である。それは我々の歴史の植物標本箱に保存される
ひからびた古い美徳ではない。」

日本の封建制度が崩壊過程にあり、急激な商業優先の時代に突入していく中で
「ああ!現代には金権支配がなんと急速に蔓延してしまったのだろうか!」と
嘆いている文が印象的。

最近の自己目的化した数字型経営や完全な新自由主義者の経済理論
欧米流のグローバルスタンダードに違和感を感じている僕からすると
武士道的な倫理に共感できるところがあるのに妙な納得感。

日本人の思考様式を自覚し、他の国との比較をするにあたり
読んでおいて損は無い1冊。


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コンプライアンスが日本を潰す  〜新自由主義との攻防〜
藤井 聡 扶桑社新書121 

公共政策論、国土計画論を専門とする著者が
「日本のことは、自分たち日本国民が決める」という独立自尊を促す本。


コンプライアンスというと「内部統制」「コーポレートガバナンス」
「法令遵守」などを思い浮かべる方が多いかもしれないが、
本書はそういった方向の書籍とは異なる。

本来、法令は慣習・文化から立法、改正され、それに基づき
社会に好循環をもたらせるべきものであるはずだが、
現在のコンプライアンス至上主義は、米国の新自由主義の発想=
完全なる市場主義=競争が全て=独占禁止法の尊重といった
元来日本が持っていた慣習・文化とは相容れないところから
規定されているものである。

タクシー業界に起こった規制緩和の問題と改善できない状態、
建設業界を襲っているマイナススパイラルについて触れている。

TPPなどのビジネスの視点で考えれば、米国のルールを
そのまま受け入れる事に等しく、受け入れられるような話ではない。

「法令に従うな」と言っているのではなく、日本に根ざした法令を構築し
法治国家としてのレベルをあげ、福沢諭吉が指摘した3段階の文明
(未開国、半開国、文明国)の水準のうち最高位の「文明国」を目指そう!

こちらの本も、完全なる新自由主義には違和感を覚える僕としては納得。
今の日本には、「一身独立し、一国独立す」(by福沢諭吉 学問のすすめ)
という主体性が求められているって事を強く感じます。



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たまたまですが、5000円札の新渡戸稲造と1万円札の福沢諭吉という
お金に絡むネタになりましたが、紙幣に描かれる人というのは
博学であり、志も高い人だったのだなと改めて尊敬しました。


金曜日の午後にLAXを出発し、成田への帰国は土曜日の19:00。
時間を損した様な感じになるのは僕だけでしょうかね・・・。







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